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世界遺産 アンコールワット遺跡群に行く前に知っておかなければならない6つのこと

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言わずと知れた人気観光スポット アンコールワット遺跡群

世界中から訪れる観光客数は年間500万人前後であり人気観光地の世界ランキングでも常にTOP3に入っている観光スポットである。

 

今回はアンコールワット及びカンボジアを観光するにあたり必ず把握しておかないといけない項目を案内する。

華やかな観光地だけを観るだけの場合であっても現地の人々と接する機会は多く、遺跡の歴史や戦争・虐殺、現在の経済の状況等々すべてリンクしていくものでありそれらを理解したうえで観光することで印象深く意義のある旅になるはずである。

 

普段筆者が観光の日本人にアドバイスを求められて言うのは、遺跡って神聖なところだからね!子供にはお金あげないでね等の短いアドバイスになりがちでありこの機会に少しでも理解を深めて頂きたい。

 

クメール・ルージュは過去のものとなりつつあるが国民の心の傷が癒えたわけではない

 

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1970年台から続いた内戦・虐殺・戦争が落ち着きをみせ始めたのは2000年台に入ってからであり、ポル・ポトの大虐殺では300万人前後の人々が殺されている。

殺す側に立たされていたのは年端のいかない少年兵であった。

大人を少年兵に皆殺しにさせていたのでここで一旦文化も教育もほぼ途絶えており現在でもカンボジア国民の平均年齢は24才ほどである。

その後も地雷や餓え・貧困等様々な困難に立ち向かっている。

筆者の知り合いのシングルマザーも月収が60$とのこと。

こちらの物価で考えても厳しい。

また別の友人(20才くらいの女性)に家族構成を尋ねたところ一人っ子と答える。

珍しいねえ?と返したらお父さんもお兄ちゃん達2人も同じ病気で亡くなったと言う。

普通同じ病気でそうならないだろう。

本来なら死に至らない病気がもとで、おそらくまともな治療を受けられなかったはずだ。

そこから私もしばらく無言になった。

元少年兵の人も人を何人殺したか覚えてないと言っていた。

年配の人も若い人も深く話すと皆心に闇を抱えているように思えた。

アンコール遺跡群は観光地であるとともに宗教的な聖地でもある

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カンボジア人は信心深くまたアンコールワットをとても誇りに思っている。

観光するにあたってもそれに見合った立ち振舞・服装が必要である。

特に服装は肩や足の露出が無いものが望ましく、ノースリーブやショートパンツでは立ち入りできないエリアもある。

また帽子も必要に応じて脱ぐこと。

孤児院やマッサージに向かう前に

孤児院が外貨獲得の為の商業施設のような立ち位置になり、孤児は客への対応ばかりを強いられ教育の機会を失っているケースがある。

また栄養状態が悪いことに起因し目の不自由な人が多くおり、マッサージ師として不当な賃金のもとで搾取されていると聞く。

筆者は正直マッサージでそのようなことが本当にあるのかは把握できていない。

いずれにせよそういった場所には訪れずに適切に活動しているNGOに寄付するのも選択肢ではある。

安易なボランティア活動が本当にカンボジア人の幸福に繋がっているのかよく考えて行動する必要がある

ボランティアを否定することはできず何かしらプラスの効果を生み出しているのは間違いない。

被災地に千羽鶴を送る行為も当然意味のあるものであるが似たような例なのかもしれない。

 

ここで言っているのは5泊とかの弾丸ボランティアツアーである。

実際ボランティア活動はそのうち2日ほどであり、ボランティアに従事する者はカンボジア語クメール語)でありがとうがやっと言える程度のケースが多い。

活動内容は現地の小学校に赴き一緒に遊んで日本の歌とあいうえおを教える程度の内容である。

中学に進学できない子供が多い中、貴重な勉強時間を削ってボランティアに満足感を与える仕事を小学生に強いるような図式にもなりかねない。

スケジュールをみると月に何回もそういうツアーを組んでいるNGOがある。

 

メリットとして

・プチボランティアをきっかけに社会貢献に意欲的な若者が育つ。

・体験してみて本人が足りないスキルや知識に気付く。

・1日2日でもボランティア参加者にとっては貴重な経験であり今後に役立つことも多いだろうし就活の際にボランティアしてましたと言える。

なにもやらずに文句言ってる人より遥かに偉いし自信を持って良いとおもう。

・ツアーでの収益をもとにNGOがより貢献できる。

 

デメリット

・すべてのNGOがボランティアに専念している訳ではなくお金が大好きな団体も多い

・子供に負担になってはいないか?

素直に観光して外貨を落としてカンボジアの子供たちには寄付だけして帰るという選択肢もある。

 

すべてはカンボジアの困っている人たちに対してベストな選択に近づけるか、ダライ・ラマも言うとおりその行動が幸福に繋がるのか自問して行動する必要がある。

 

この問題はカンボジア人に尋ねても即答で役立っているという返答はなく、「うーーん、まあいいことだよね」等の少し返答に困る質問のようであった。

併せてNGOの人達はいい暮らししてるよね等含みのある発言もでてくる。

カンボジア人も本音と建前を使い分ける傾向があり、相手を気遣い本心を言わないことが多い。

子供から物を購入したり子供の物乞いにお金をあげる行為について

観光地のレストランでは物乞いの少年が巡回しており遺跡にはポストカード等の物売りの少年少女がたくさんいます。

カンボジアの平均月収は100~150$程度ですがこの子供たちは大人以上によく稼ぐ。

レストランでも1$くださいと回ってくるが無数にあるレストランを何周かするだけでおそらく10$くらい稼いでしまうようはずだ。

1店舗に入って物乞いをすると2人くらいの客がお金をあげていることが多い。

当然一家の稼ぎ頭であり親も学校に行かせない。

しかし実入りが良いのは子供のうちだけ。

楽をして金銭を得る事を覚え、学習する機会も奪われ将来の子供たちの幸福に繋がるのか。

タイなどの他国はプロ乞食が多く農村から集金要員を集めて親分が儲けているようですが、カンボジアは家族単位が多いように感じる。

私がお金をあげる対象は働けないような大人やハンディキャップのある人のみ。

ただし観光地で良い場所を抑えて楽器を奏でているプロっぽい人は物凄く儲けているので避けるべき。

また地方都市の物乞いは本当に死にかけてるレベルで痩せているケースがあるが観光地の物乞いは普通の体型の人が多くパフォーマーのように敢えて不潔な身なりにしてるおそれすらある。

 

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(プノン・クロム遺跡ふもとのお土産店にて)

乳幼児を使ったミルク詐欺に注意

オールド・マーケット周辺などで乳幼児を抱えた女性をよくみかける。

女性は観光客に声をかけ、お金は要らないが子供にミルクを与えたいと切望する。

観光客がミルクを買い与えることに同意すると店に案内しそこそこの値段のミルクを購入させる。

ミルクを販売した商店は女性にマージンを渡すとともにミルクを回収する流れ。

 

母親・母親役は子供を借りてまでしてミルク詐欺を行う、また子供には薬を飲ませおとなしくさせていると伝え聞く。

確かにそう言われると子供がグズっている印象はなくいつも寝ている気もする。

 

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(西バライ貯水池の子供たち)

まとめ

もっとカンボジアが貧しかった頃に児童売春の取り締まりが厳しくなり、家族ごと餓死するならば児童売春もやむを得ないのではないかと考えていた。

もう何年か取り締まりを緩くしてもよいのではと。

今は大体の村でそこまでの極貧は減ったはずである。

 

今子供を犠牲にするビジネスに関して私達ができるのは収益源とならないこと。

現状では残念ですがそれだけなのかもしれない。

いつまでもこういった行為が取り締まられていないのは賄賂がモノを言うカンボジアの構造的な要因もある。

実際に小学校低学年くらいの子供がボロ雑巾みたいな服を纏いお風呂にも長いこと入ってない状態で求めてくるのでお金をあげるあげないというのはこういった知識を持ったうえで判断すればよいと思う。

私もあまりに悲惨でお金を払わずにはいられない時がある。

ただこういったことを把握したうえで各自でベストと思われる行動ができればよい。

 

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(清潔な服と肌の村の標準的な子供)

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